ワクチンの「有効期限」管理

「有効期限を11日過ぎたヒブワクチン」を、県内の医療機関が1歳児に接種したと報じられました。

 

過誤接種には違いないですが、さいわい、期限を11日過ぎていたとしても医学的には何の問題もないでしょう。

 

むしろ問題は別にあります。有効期限を見落とすような確認態勢で他の間違いは起きてないのか、ということ。

接種量や間隔の間違いとか、違うワクチンを接種したり、接種する子どもを取り違えたり、という心配です。

 

とは言え、いちばん見落としやすいのは、たしかに有効期限でしょう。なにしろその表示が小さいのです。

なので当院では、ワクチン毎のロット番号と有効期限の札を、保冷庫の前面に目立つようにぶら下げています。

期限の年ごとに札の色を変え、期限間近のワクチンが常に目に付くようにして、緊張感を保っています。

 

ところで、当院で最近使ったヒブワクチンの有効期限をあらためて調べてみました。

今年3月~5月の間に購入したワクチンの有効期限は全部、今年の11月でした。

すべて9月までに使い終えていましたが、けっこう期限の近いワクチンを使ったことがわかります。

6月~8月には入荷はなく、9月以降の入荷分からは、有効期限が来年10月にまで大幅に伸びています。

 

このように、入荷ごとの有効期限の変化幅が大きいワクチンは、流通量が少ないのだろうと推測します。

5種混合ワクチンの導入以来、ヒブワクチンの需要が激減し、輸入量が減ったのかもしれません。

なので発注のタイミングによっては、有効期限間近のワクチンが届く可能性もあるわけです。

 

有効期限切れは過誤接種をまねくだけでなく、単価の高いワクチンを廃棄するというムダにもつながります。

医療機関においては、予防接種の予約とワクチンの発注を正確に連携させ、効率の良い在庫管理が必要です。

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