百日咳ワクチン

百日咳が流行していることから、その予防接種を希望する方がいるという話を聞きました。

当院でそのような相談を受けたことは今のところありませんが、今後に備えて、考え方をまとめておきます。

 

乳児が罹ると重症化しやすいので、いわゆる「ワクチンデビュー」の接種に百日咳ワクチンは含まれています。

いまは「5種混合(ジフテリア、百日咳、破傷風、不活化ポリオ、ヒブ)ワクチン」として接種を開始します。

少し前までは、ヒブを除いた「4種混合」で、もう少し前までは不活化ポリオも含まない「3種混合」でした。

 

5種混合は、標準的には0歳の前半で初期接種を3回、1歳になってから追加接種(通算4回目)を行います。

その後、5回目の接種を行うのは、定期接種においては「2種混合」に含まれるジフテリアと破傷風だけです。

 

なので現状の定期接種制度では、とくに学童期以降の、百日咳とポリオの免疫切れが懸念されています。

小児科学会は、学童期の百日咳とポリオを予防するために、5~6歳時に5回目の接種を提唱しています。

さらに11~12歳時には、百日咳ワクチンの通算6回目の接種も推奨しています。

 

このうような接種スケジュールは、欧米ではすでに標準的ですが、日本ではどうしても導入が遅くなります。

日本人は有効性よりも安全性を重んじるので、何よりも副反応に厳しく、接種を増やすことには慎重なのです。

 

百日咳はしばしば、小中学生から青年期での集団感染があります。これは免疫切れの年齢層に一致します。

当院でもこのところ、中高生や成人の百日咳(の疑いを含む)患者が出ていますが、幸い重症者はいません。

 

ただこの病気は、乳児の感染を防ぐことが重要であり、乳児の感染源のほとんどが親や兄弟だとされています。

だからこそ、もっとも感染者の多い小中学生に、ワクチンを接種する必要と意義があるのです。

このことはずいぶん前から指摘されているのに、いまだに百日咳ワクチンの定期接種回数は4回のままです。

 

当院では、年長児と6年生に対して、百日咳予防のための3種混合ワクチンの接種を推奨していく方針です。

とくに、赤ちゃんが生まれる予定のご家庭では、その兄弟への接種を強くお勧めします。

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